相続発生後の不動産に関する特例の活用

司法書士山本宣行のコラムです。

ご相談者の皆さまが疑問に思われるような法律手続きのお話しや普段聞き慣れない法律用語など身近な法律問題を取り上げて解説致します。

相続税の申告が必要となる場合とは

相続や遺贈によって一定額を超える財産を取得した場合に相続税の申告が必要になります。
平成27年に相続税の増税があり基礎控除額が下がり最高税率も現在55%となっております。
正味の遺産額が相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えてしまう場合は亡くなって10か月以内に故人の住所地を管轄する税務署に相続税の申告が必要となりますので注意が必要です。
(平成29年9月現在の税率や額となり今後税改正等で変更の可能性はあります。)
正味の遺産額とは非課税財産・葬式費用・債務を控除し相続開始3年前の故人からの贈与を加えたものとなりますので相続税の基礎控除額と比べてみて財産が超えてしまいそうなら相続税の申告をしかるべき期限までに行い、納税しなければなりません。
せっかく親兄弟などから受け継ぐ大事な財産を大きな税金として国に納めなければならなくなる可能性が出てくるわけですから、悩みがまた増えてしまいます。
相続税を計算するうえで評価額が大きくなってしまう主要な財産として不動産が考えられます。
大きな資産となる不動産があることで相続税の申告が必要となってしまった場合には、相続方法によっては不動産に関する特例を利用することで相続税の納税額を抑えることが出来る場合があります。
不動産に関する特例では対象となる宅地等として細かくは居住用のほかに事業用(特定事業用・特定同族会社事業用・貸付事業用等)がありますがコラムでは一般的な居住用の特例に関して説明していきたいと思います。

特定居住用宅地等の特例とは

相続開始直前で亡くなった被相続人の居住用に供されていた宅地等で一定の要件に該当する親族が相続または遺贈により取得した場合は330㎡以下の部分につき、居住用宅地の評価額が80%減額される特例となります。
不動産の評価額が80%も減額可能となれば単純に1億円の不動産なら2000万円の評価となるわけですから非常に大きな節税効果となり相続税が軽減されますので、相続税の申告が必要な場合は誰もが利用したくなりそうですが、条件や注意すべきポイントもありますので慎重な検討が必要となります。

特定居住用宅地等の特例を受ける場合のおもな取得者や被相続人の条件

◎被相続人の配偶者
◎被相続人と同居していた親族(下記の要件を全て満たす必要があります。)

・相続開始の直前から相続税の申告期限までその建物に居住していること。
・その居住用の宅地を相続税の申告期限まで所有する必要があります。
◎被相続人と生計を一にしていた親族(下記の要件を全て満たす必要があります。)
・相続開始の直前から相続税の申告期限までその建物に居住していること。
・その居住用の宅地を相続税の申告期限まで所有する必要があります。
※生計を一にしていたかの判断は個別の事情で税務署により判断されることになると考えられますが少なくとも
日常生活において、水道光熱費・食費・居住費といった主要な生活費を共通にしていた関係があったかどうかといったことは重要な判断基準になると思われます。

◎同居していない親(下記の要件を全て満たす必要があります。)
・被相続人に配偶者がいないこと、かつ同居の相続人がいないこと。
・被相続人の土地を取得する親族が相続開始前3年以上借り家住まいであること。
・相続開始時に被相続人もしくは相続人が日本国内に住所を有していること又は相続人が日本国内に住所を有し
 ない場合で日本国籍を有していること。
・取得した宅地等を相続税の申告期限まで有していること。

被相続人が老人ホームへ入所していた場合は

被相続人が自宅を離れ老人ホームへ入所しているケースがありますが下記の要件を満たせば相続開始直前において被相続人の居住用の宅地扱いとして特例の対象となります。
(平成26年1月1日以後に開始した相続が適用対象となります。)
なお、適用対象となる老人ホームは明文化されており参考までに下記となります。
・有料老人ホーム
・養護老人ホーム
・特別養護老人ホーム
・軽費老人ホーム
・介護老人保健施設
・サービス付き高齢者向け住宅
・認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居
・障害者支援施設又は共同生活援助を行う住居
(要件)
〇介護が必要で入所したこと
※介護認定は相続発生までに認定されれば入所時に認定されなくてもよいとされています。
〇入所後の家屋を貸付等の用途に供していないこと。

特定居住用宅地等の特例利用の注意すべきポイント

特例利用を受けるためには原則として、適用要件を満たす遺産分割を行い相続税の申告期限までに申告する必要がありますが利用にあたり注意すべきポイントがありますので慎重な検討が必要です。
〇1つの宅地等で共同相続する場合
共同相続人それぞれの取得者要件を確認する必要があり、相続人によっては使える場合と使えない場合が出てくるため、相続人間の相続税の負担額に差が出てしまう場合があります。
〇被相続人が複数の宅地を所有していた場合
主として居住していた1つの宅地等にのみ利用が可能なので全ての宅地に特例が適用される訳ではありません。
〇二世帯住宅の場合
「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」である旨の登記がされている場合は
親世帯と区分された子供世帯は特例の利用が出来ません。
平成26年1月1日以後に開始した相続については、上記の区分所有登記がされていない場合は構造上完全に区分された建物で内部で自由に行き来が出来ない場合でも特例利用の対象となります。
〇アパート所有など1棟の建物が複数の利用区分に分かれている場合
利用区分ごとに按分して減額割合を計算する必要があります。
〇被相続人が入院中に亡くなった場合
平成26年1月1日以後に開始した相続については、入院前の居住用建物が入院後に貸付等の他の用途に使用されていなければ生活の拠点は入院直前の自宅と解されるため特例対象となる被相続人の居住用に供されていたものとなります。
〇事業用地などがある場合
特例対象となる宅地等が事業用を含めて複数ある場合には適用する宅地を選択しなければなりませんが税額にどのような変化が生じるかパターンごとにシュミレーションを行い税金で損することがないように税理士などの専門家にお願いして適用対象地の選択に充分な検討が必要となります。
〇相続税の納税に宅地等を物納で行う場合
小規模宅地等についての特例の適用を受けた相続財産を物納する場合の収納価額は適用後の価額となってしまいます。

特定居住用宅地等の利用のまとめ

特例利用を受けるためには、相続発生後に早期の段階で相続人が相続財産を調査し相続税の申告が必要となる場合には、相続財産となる不動産が適用対象となる宅地なのか確認を行い、不動産の取得予定者が適用条件を満たす相続人なのか合わせて確認する必要があります。
遺産分割を上手に行えば最終的に相続税の額を少なくできるうえ、二次相続が発生する場合の節税につながる可能性もありますので専門家に依頼のうえ、アドバイスや意見などを参考にしながら特例を活用して頂くことをおすすめします。
また節税ばかりに目がいってしまうと思いがけず相続人間で話し合いが進まなくなってしまうこともありますので相続人間で遺産分割に納得できるような柔軟な判断も大事なのではないかと思います。
お金も大事ですが家族円満であることがさらに相続では重要なのではないかと考えます。

 

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