森林の土地を相続等で取得した場合の届出
司法書士山本宣行のコラムです。
ご相談者の皆さまが疑問に思われるような法律手続きのお話しや普段聞き慣れない法律用語など身近な法律問題を取り上げて解説致します。
森林不動産を相続した場合
森林の土地を取得した場合には、所有者となった旨の届出をすることが森林法第10条の7の2で定められており、平成24年の4月1日より施行されております。
しかしながら、この法律は一般の方にあまり周知がなされていないようで、故人の残した財産の中で相続不動産があり、その相続不動産が森林だった場合でも相続登記が完了した後は、届け出を行わなければならないことに気がつかず届け出がなされていないことも多くあるようです。
相続の登記申請をした後は所有権が確定するため安心してしまい、森林に関してはその後の手続きをつい忘れがちとなってしまうことも多いため、森林不動産を取得した場合の届出について説明をしていきたいと思います。
森林不動産を取得した場合の届出制度について
そもそも、森林の所有者が不明になると行政が森林所有者に対して行うべきアドバイスが出来ないことはもちろんですが、森林の間伐等を事業体が行う際に森林所有者に働きかけて効率的に作業を行うことが出来ないといった支障が生じてしまいます。
ちなみに間伐を行うことが重要なのは、森林の木々が成長してくると混みあってくることで隣どうしの木々の枝葉が重なり合うようになり成長をお互いが阻害してしまいます。
そのため、間伐を行い一部の木々をぬきとることで空間を確保して枝葉の成長を促しより多くの光を木の根元や地面が吸収することで豊かな森林を形成していくことにつながっていきます。
したがって、森林生態系を健全に保っていくための計画的な間伐に支障が生じてくると、環境破壊にもつながってくるとの趣旨から森林不動産の所有者を適格に把握するため創設された届出制度になっています。
近年ニュースでは大雨等の影響で森林土砂災害などの被害が多く発生しておりますが、間伐が計画的に行われないと地表がむき出しになり大雨等で土壌が流れやすくなり土砂崩壊等の山地災害の発生も起こりやすくなってしまいますので届出を行うことの重要性がうかがえます。
届出はどのような場合に必要か
〇届出をする者
個人か法人かによらず相続や贈与、売買契約、法人の合併などにより森林の土地を新たに取得した者
〇届出の時期
森林の所有者となった日から90日以内
〇届出書に添付する書類
森林の届出書の様式に記入し下記の書類を提出
・取得した森林の土地の位置を示す図面
※図面は任意のもので大まかな位置を記入する必要があります。
・取得した森林の土地の登記事項証明書(写しでも可)又は土地の売買契約書、相続分割協議書など山林を取得したことが分かる書類
〇届出書の主な窓口
・森林の土地を管轄する市役所・町村役場、都道府県庁、出先機関の林務担当
※届出を提出しないと
※ちなみに過料とは民事上の義務違反に対する金銭罰で刑罰にはなりません。
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