遺言内容と抵触する不動産の生前処分行為があった場合

司法書士山本宣行のコラムです。
ご相談者の皆さまが疑問に思われるような法律手続きのお話しや普段聞き慣れない法律用語など身近な法律問題を取り上げて解説致します。

遺言が撤回されたとみなされる場合

遺言書の作成は個人の自由な意思により単独行為で行えるもので、遺言書を作成した後でも遺言者の気が変わればいつでも自由に書き換えることも可能です。
仮に公正証書遺言で作成した後の日付で書いた自筆の遺言が法定の形式をきちんと具備していれば新たに作成した自筆の遺言書の方が優先されてしまうわけです。
上記のように新しい日付で前に作成した遺言の内容に反する遺言をしたり、もしくは前の遺言を撤回する旨の遺言をするなど遺言が撤回されたみなされる場合はいくつかあります。
遺言者が生前、故意に遺言自体を破棄したり遺言の目的物を破棄もしくは内容に反する処分行為をする場合なども遺言は撤回されたものとみなされます。
(参考 民法1023条、1024条)
このような従前に作成した遺言書を撤回されたものとみなされる処分行為や法律行為は有効なものでなければなりません。
したがって、無効な行為である場合には従前に作成した遺言書の内容と抵触していても撤回とはみなされないことになります。
遺言書を使って不動産の名義変更手続きを行う場合に遺言内容と抵触する生前処分行為により不動産登記上どのような判断となるのか事例をあげて説明していきたいと思います。

遺言内容と抵触する不動産の生前処分行為により登記がされている事例

相続が発生して不動産の名義変更手続きを行う場合には、対象物件の今現在の所有者名義が誰になっているか不動産登記簿などを確認しますが、遺言書に記載された対象物件であっても故人である遺言者名義となっているか同様に確認する必要があります。
この場合に万が一、売買や贈与などで遺言者が生前に処分行為を行い第三者名義となっている場合には、先に述べたように遺言が撤回されたものとみなされるため、仮に遺言の内容が遺贈となっていた場合でも受遺者への名義変更登記は出来ません。
このような生前処分行為で第三者名義に登記がされていた場合でも、さらに登記原因が「錯誤」で抹消登記がなされている場合には、従前の遺言書どおりの内容で故人名義から受遺者へ遺贈を原因とする名義変更登記の申請は受理されるでしょうか。

登記先例によると

特定遺贈による遺言の内容と抵触する売買を原因とする所有権移転登記がされている場合に、その登記が「錯誤」を原因として抹消されている場合には遺贈を原因とする所有権移転登記の申請は受理されることになります。
(参考 平成4・11・25民三6568号)
売買自体がそもそも無く目的不動産を誤って登記申請してしまったのか、売買契約などの法律行為に何かしらの無効原因があったのか「錯誤」の抹消理由として登記記録を見ただけでは理由は分かりませんが、いずれにしても民法1023条の生前処分行為による遺言の撤回があったものと登記記録からは判断出来ないということになります。
また「錯誤」を原因として抹消登記がされていれば登記官の審査は形式的な審査となるため、登記記録上の売買による第三者への所有権移転登記の存在はなかったものと事実上の推定がされることで上記のような「錯誤」を原因として抹消されている事例では、従前の遺言書どおりの内容で行った登記の申請は受理されることになります。

上記事例で登記記録の抹消原因が「取消」の場合

先に述べた同様のケースで仮に抹消原因が「錯誤」ではなく「取消」として登記記録に記載されていた場合は注意が必要となります。
民法1025条では「前三条の規定により撤回された遺言は、撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力は回復しない。ただし、その行為が詐欺又は強迫による場合は、この限りではない。」と定めているからです。
生前売買の「取消」と登記記録に記載されることになったそもそもの原因が詐欺又は強迫以外の制限行為能力などの場合には遺言は撤回されたままの扱いとなり実体法上は遺言書どおりの内容で行った登記の申請は受理されないことになるようにも考えられますが登記官の審査は形式的な審査となり、登記記録から取消の理由が判断できないため、事前に法務局へ確認したうえで登記申請の可否を判断することになると思われます。

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