親や兄弟姉妹などの法定相続人で遺産分割を行う方法

司法書士山本宣行のコラムです。
ご相談者の皆さまが疑問に思われるような法律手続きのお話しや普段聞き慣れない法律用語など身近な法律問題を取り上げて解説致します。

遺言書が無い場合に親や兄弟姉妹など法定相続人で行う遺産分割とは

故人亡き後に残された親や兄弟姉妹などの法定相続人と相続の対象となる財産が確定したら具体的に相続人全員で財産をどのように分けるのか具体的に話し合い、遺産分割協議書を作成していきます。
この遺産分割協議書には原則として法定相続人全員の署名と実印での押印が必要となります。
遺産の分割方法にはいくつか方法がありますが、法定相続人となる親や兄弟姉妹などの意見や意思を尊重しながら揉めないように遺産分割協議を進めていくのが重要となります。
全ての遺産全部を一度にまとめて分割協議が出来れば理想ですが、分割協議に時間かかかってしまう場合には相続税などの期限が迫り税金を早急に納めなければならないこともあります。
このような場合には、土地や建物といった不動産などの特定財産のみをとりあえず協議して不動産を売却して親や兄弟姉妹の各相続人の相続税にわりあてる資金を確保しつつ残りの未分割の遺産について時間をかけながら親や兄弟姉妹などで話し合って分割協議を完了するというような事例も実務では比較的あります。
親や兄弟姉妹などの法定相続人が遺産分割を円満に行ううえで、どのような遺産分割の方法があるのか事前に確認しておく事が重要であると思われますので、主な遺産分割協議の方法を説明をしていきたいと思います。

おもな遺産分割協議の方法

遺産分割が困難とされる土地や建物といった不動産は親や兄弟姉妹で法定相続分により共有名義で分割する方法もありますが、生計を同一にしていない相続人で特に兄弟姉妹などが家である居住用不動産を共有名義にして分割してしまうと、共有者が増え意見の同意が得られにくくなるため将来的に売却や建物の建て替えなどの不動産活用が難しくなってしまったり、所有関係が複雑化してしまうなど現実的ではありません。
ただし、土地や建物といった不動産でもアパートや駐車場などの収益物件の場合には居住用不動産と異なり親や兄弟姉妹などの相続人で共有として管理費用などの諸経費を控除して賃貸料を分配していく方法が有効な場合もあり、そのような場合は遺産分割で親や兄弟姉妹などの相続人の中から相続する収益物件を管理する者も選んでおく必要があります。
では分割方法として実際にどのような方法があるのか、現物分割・代償分割・換価分割について下記に挙げて説明致します。

現物分割による方法

財産そのものを具体的に誰が取得するのかを決めていく分割方法となります。
例えば家である甲土地建物は長男と被相続人の配偶者の共有で相続、預貯金は長女に相続させる、というように分割します。
不動産を共有にして分割する場合も現物分割による方法となります。
デメリットとしては例えば土地や建物といった不動産と預金などのように価格が一致しない相続財産によっては分割後の財産価値に差が出て不公平となってしまうこともあるため、親や兄弟姉妹など相続人同士の話し合いが上手くまとまらないケースもあります。
ただし、先祖代々守っていかなければならない家である土地や建物といった不動産などの財産があり、相続人同士で納得のうえ、合意していれば、相続する財産価値に差が出てしまうことが問題とならない場合もあるため、現物分割の方法がシンプルで分かりやすいということになるでしょう。

代償分割による方法

現物分割で財産価値が不公平になってしまい、相続人同士が納得しないようなケースでは、法定相続分を超える財産を一部の相続人に取得させたうえで他の相続人に対して債務を負担する分割方法となります。
この分割方法は代償分割と呼ばれ、一例としては相続財産として家である居住用不動産に亡くなった被相続人と居住している長男が引き続き家の居住を望んだ場合などが考えられます。
この場合には長男が居住不動産を相続し他の兄弟姉妹などの相続人は預金や株式などの金融資産を相続して分配を受けれるように分割協議をしますが、問題となるのは預金や株式などの金融資産が十分にない場合もあるため、家の不動産を相続した長男が他の兄弟姉妹などの相続人に対して、自己の財産から捻出して法定相続分に応じた額となるように調整する方法となります。
相続する土地や建物といった不動産の価額については他の兄弟姉妹などの相続人全員の合意をとる必要があります。
時価や路線価を参考にしながら評価を決めていくことが実務では多いかと思われます。
デメリットとして代償金債務を負担する相続人にとって、自己の財産から出損することになるため、ある程度の資力が必要となります。
遺産分割の協議でのポイントとしては、代償金の支払いは事情によって期限の猶予や分割払いとなることを相続人同士で話し合いのうえ、取り決めておくことが将来的に兄弟姉妹などの相続人で揉めないために必要かと思われます。

換価分割による方法

土地や建物といった不動産や株式、動産といった相続財産をいったん売却などで換金した後に親や兄弟姉妹などの相続人が金銭で分配を受ける分割方法となります。
例えば不動産などの財産を相続人同士の合意で代表者名義にしたうえで、第三者に売却しその代金を法定相続人で均等に分配する方法や現物分割又は代償分割をするため相続財産の一部を換金して調整金に活用する方法などが考えられます。
代表者名義にしないで親や兄弟姉妹などの現物分割にして売却を行うと法定相続人全員が売主となり土地や建物といった不動産を売却する場合には、売買契約の締結や代金の決済に関与していかなければならなくなります。
したがって、遠方に住んでいる相続人がいたり、高齢者や障害で移動が困難な相続人などがいると売却が困難となってしまう可能性もあるため分割協議の際には考慮しながら、便宜代表相続人の名義として売却代金を分配する換価分割の方法を行うのか決める必要があります。
換価分割の方法による場合には他の相続人への売却代金の分配を贈与とみなされ課税されないように遺産分割協議書には換価分割の方法により便宜代表相続人が相続する旨を明らかにして記載しておく必要があるため注意すべきポイントとなります。
換価分割による方法で土地や建物といった不動産を売却する場合、売却代金から不動産名義変更にかかる相続登記費用、仲介手数料や売却にかかる経費や税金などの費用を控除した金額を相続持分に応じ分配することになります。
なお、土地や建物といった不動産を売却した場合に各相続人に譲渡所得税が課税されることになりますが、相続税がかかり納付をしていると相続から3年以内に売却した場合は納付した相続税は譲渡所得税の納付にあたって取得費として相続人全員に認められる場合もありますので税理士などの専門家へ相談してみるといいでしょう。

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