親が一人暮らしの場合の実家不動産の管理

司法書士山本宣行のコラムです。
ご相談者の皆さまが疑問に思われるような法律手続きのお話しや普段聞き慣れない法律用語など身近な法律問題を取り上げて解説致します。

高齢の親が住む実家をどのように管理するか

親の一方が亡くなり残された親が今現在は元気なものの古くなった一戸建てやマンションに住む一人暮らしの親を考えるとこのままで大丈夫なのか子供の立場としては漠然とした不安を抱えてしまいます。

ご家庭によっては親の足腰も最近あまりよくなく将来的には高齢者施設に入所することも検討していかなければならない場合もあります。

一人暮らしの親が物忘れがひどくなり認知症になってしまうと重要な書類や預金通帳、財布などがどこに保管されているかもわからなくなってしまい親のために何かしようと思っても困ってしまいます。

このように一人暮らしの親を持つ子供としては親の将来のことが心配になるものの現在の親が元気なためこのまま様子を見てみようと考えられる方も多いのではないかと思います。

下記に事例をあげて法律で用意された制度を利用した場合やそうでない場合にどのような違いが生じるのか簡単に説明したいと思います。

事例 家族の状況

3年前に母が他界し現在、父が築50年の一戸建てに一人暮らしをしている。
・子供は長女と長男がいます。
・父は元気ではあるが足腰は年々悪くなってきており物忘れも若干出てきているようです。
・将来的には高齢者施設に入所することも考えています。

上記事例における将来の検討

①何もしない場合

父の年齢を考えると認知症や脳梗塞といった病などで判断能力が喪失した状態になってしまう場合が考えられます。
上記のような病で判断能力が無くなってしまうと施設へ入居するための費用が預貯金で足りなくなり実家の不動産を売却処分や賃貸とすることが出来なくなってしまい子供の貯金から足りない費用を捻出することも考えなければならなくなってしまう可能性が考えられます。

②成年後見制度を利用する場合

本人である父にある程度の財産がある場合には司法書士や弁護士などの専門家である第三者が家庭裁判所から選任される可能性が高くなってしまいます。
例え子供である長女が後見人候補者として申立てを行っていた場合でも同様となります。
したがって、本人の財産から第三者への報酬が発生してしまいます。
また不動産を処分する場合には家庭裁判所の許可が必要となり、処分にあたっては合理的な理由を証明する必要があり家庭裁判所の判断によっては許可が認められない可能性もあります。
本人を守るための制度として家庭裁判所の指導・監督に置かれるため、本人である父のお金を使用し実家の修繕リフォームや孫にあげるお小遣い等も家庭裁判所の許可なく勝手には行えなくなるため、後見人になることは事務や手続きへの負担が重くなります。
不動産の処分などの許可が家庭裁判所からおりて子供としては目的を達成できた場合でも後見人を辞任することは出来ないため本人が亡くなるまで後見事務が継続することになります。

③家族信託制度を利用する場合

財産所有者である父を委託者、信頼のおける長女を受託者、実際の利益を受ける権利を持つ父を受益者として父名義の実家不動産や預貯金の一部などを信託財産とするような信託契約を父と長女が行います。
この事例の契約方法としては委託者である父が実際の権利を受ける受益者になっており、名義のみを受託者である長女にしているため、贈与税や取得税は発生しません。
家族信託を利用し契約の目的を詳しく定めておくことで判断能力が徐々に低下し認知症になった場合でも受託者となった長女が目的に従い長女の判断で日々父へ生活費の送金や実家不動産の管理・修繕や施設へ入居するための実家の売却が必要となってもスムースに手続きを行うことが可能となります。
最終的に受益者となった父が亡くなった場合は残った信託財産を揉めないように相続財産として法定相続人で取得するように定めておくことも可能です。

 

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