相続放棄がなされているか知りたい場合の確認方法
司法書士山本宣行のコラムです。
ご相談者の皆さまが疑問に思われるような法律手続きのお話しや普段聞き慣れない法律用語など身近な法律問題を取り上げて解説致します。
相続放棄がなされているか知りたい場合とは
故人と一緒に暮らしている配偶者や連絡を普段から取り合う子供が円満であれば、たとえ故人に多額の借金債務があり相続放棄を検討しなければならないような場合でも他の相続人が相続放棄をしているかどうかということなどは親や兄弟姉妹が連絡を取り合える仲なので問題とならないかと思います。
しかし、故人が生前に配偶者と離婚したため、子供と生き別れ音信不通となっている場合に、故人の葬儀をあげた親兄弟姉妹にとって多額の借金債務が見つかった場合には故人の法定相続人であるのは音信不通の子供となるため、相続放棄を行うにも、まずは第1順位の子供が相続放棄を行わなければならないため、深刻な問題となってしまいます。
音信不通の子供に悪い噂がある場合や調査して連絡を取るための労力や費用をかけたくないない場合などあえて連絡を取りたくないようなさまざまな家庭事情などあるかと思います。
このような連絡の取れない第1順位の相続人が故人である親の死亡や借金の存在を知ってしまった場合に仮に相続放棄の手続きを行い家庭裁判所に受理されますと、故人の親や兄弟姉妹などの第2、第3の次順位の法定相続人へ相続権が回ってくため、通常は相続放棄の手続きを行わなければならなくなります。
したがって、音信不通で連絡が取れないような先順位の法定相続人がいるようなケースの場合には、先順位の法定相続人が相続放棄を申立て家庭裁判所に受理されているかどうかを、債権者から督促などの連絡がくる前に知りたいと思われるご親族が多いかと思いますのでその確認方法について説明をしていきたいと思います。
家庭裁判所へ相続放棄の申述の有無の照会を行う
相続人となる親族などが相続放棄をしたかどうかを調査するには、家庭裁判所へ相続放棄の申述の有無についての照会手続きを行う必要があります。
故人である被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ相続放棄の申述の有無について照会を行う必要があります。
相続放棄をしたことの照会ができるのは誰でもできるわけではなく利害関係を疎明した者となります。
つまり共同相続人や後順位相続人、相続債権者などが利害関係人に該当します。
家庭裁判所によって具体的な手続きが異なる場合もありますが、一般的には家庭裁判所への「相続放棄の申述の有無についての照会申請書」に印紙を貼り被相続人の情報として本籍、最後の住所、氏名、死亡日などを記載し相続放棄をしたかどうかを照会したい対象者の氏名を記載します。
照会を求める理由としていくつかありますが親兄弟姉妹などの親族からの照会であれば「相続放棄の手続きを行うため」と記載していきます。
照会請求の手続きを家庭裁判所へ行うことにより、放棄がなされていれば事件番号や放棄を受理した年月日等が記載され、放棄がいまだなされていなければまだなされていない旨の証明書が交付されることになります。
相続放棄の申述の有無の照会にあたって提出する書類
基本的には相続関係図や被相続人に関する死亡記載の除籍謄本や住民票の除票、照会する申請者の戸籍や住民票が必要となります。
ただし、利害関係を証する書面の提出が求められるため、親族の場合で直系尊属である父母や祖父母などの第2順位相続人、傍系血族である兄弟姉妹甥姪などの第3順位相続人である場合は◎被相続人の出生~死亡までの戸籍や◎被相続人の両親の出生~死亡までの戸籍(◎被相続人の兄弟姉妹が亡くなっている場合は亡くなっている兄弟姉妹の出生~死亡までの戸籍)書類を提出して証明する必要があります。
余談ですが債権者などの利害関係人が請求する場合には金銭消費貸借契約書や抵当権などの担保が設定登記された登記簿などの資料を提出して相続放棄の申述の有無の照会を請求していくことになります。
相続放棄の申述の有無の照会にあたって注意すべきポイントとは
照会申請書は基本的には照会請求の申請日までの間に相続放棄がなされているか否かの家庭裁判所からの回答となります。
したがって、被相続人が亡くなったあとですぐに照会請求した場合には申請日以降で対象者が相続放棄を行っている可能性もあるため、死亡後ある程度の期間が過ぎてから相続放棄をしたかどうかの照会請求を行わないと本当に放棄を行っているかの正確な判断が出来ないということになります。
相続放棄の三か月の期限とは相続開始を知った時からとなっていますが、債権者などから督促が来て債務の存在を初めて知った時にはその時から三か月以内の申請も認められるため、タイムラグが生じることになりますので照会にあたっては注意すべきポイントとなります。
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